細胞膜の基本構造である「分子二重膜」をフラーレンから作ると、最大で通常の細胞膜の
一万倍水を通しにくい膜ができることが見つかった。世界で最も薄い分子二重膜である
フラーレンの分子膜が、世界で最も水を通しにくいという予想外の発見となった。さらに
不思議なことに、この膜は加熱することで、より水を通さなくなる。世界最薄の分子二重膜から
見つかったこの特性は、新しい材料開発につながると期待される。
東京大学大学院理学系研究科化学専攻および科学技術振興機構戦略的創造研究推進
事業総括実施型研究(ERATO)中村活性炭素クラスタープロジェクト研究総括である中村栄一
教授と元東京大学の磯部寛之准教授(現東北大学教授)らの研究グループは、2001年に、
フラーレン誘導体の陰イオンを水に溶かすと、黄色い均質な溶液が生じ、この中に二枚の
分子膜(分子二重膜)からできたベシクル(小胞)ができることを報告した。
イオン化した両親媒性分子を水に溶かしてできるベシクルとしては脂質二重膜からなる「細胞」
が最もよく知られているが、この細胞とフラーレンベシクルの性質の差には大変興味のもたれる
所である。
今回、ベシクルを形成するフラーレン二重膜の性質を精査した所、この膜は細胞膜の千倍から
一万倍水を通しにくいこと、また熱水中ではばらばらに壊れてしまう細胞膜とは違って高温
(80度まで)で壊れないばかりか、かえってより堅固になり水を通しにくくなる事を明らかにした。
この異常な性質は、分子二重膜の中に取り込まれた水が糊のように働き、熱を加えたときに
膜を硬くするためであると考えられる。
これまで細胞などの脂質分子から成る分子二重膜で知られていた常識からは考えられない
特性であり、今後の新しい膜材料の開発につながると期待される。
科学技術振興機構プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20070904/index.html
輸入、製造が禁止されている有害化学物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)に構造や毒性が
よく似た臭素系化合物を、摂南大などが日本人の母乳から検出した。人がこの物質に汚染
されていることが分かったのは初めてという。東京都内で開催中のダイオキシン2007国際
会議で発表した。
この物質は「塩素・臭素化コプラナーPCB(コプラナーPXB)」。太田壮一・摂南大准教授
(環境保健学)らは、国内の21~33歳の母親7人の母乳を分析し、毒性が最も強いダイオ
キシンに換算した毒性換算値(TEQ)で、母乳1グラム当たり0.42~1.41ピコグラム
(ピコは1兆分の1)を検出した。国内で販売された南極のミンク鯨の肉などにも含まれていた。
コプラナーPXBは、国のダイオキシン類対策特別措置法の対象物質コプラナーPCBの
塩素の一部が臭素に置き換わった物質。太田准教授らは汚染源は焼却場からの排煙や
工場の廃液が考えられると指摘する。
太田准教授は「母乳には免疫などに有益な成分が含まれており、母乳をやめる必要はない。
ただ、母乳中の有害物質のリスク評価が過小な可能性がある。コプラナーPXBも加えた方が
いい」と話す。【江口一】
毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/env/news/20070906k0000m040050000c.html
【9月4日 AFP】ヒト胚性幹細胞(ES細胞)を人工培養し、損傷した心臓組織に移植する方法が、
まもなく実用化する見通しだという。心臓移植の専門家が3日、英国王立協会(Royal Society)
発行の生物学専門誌「Philosophical Transaction B」特別号の中で発表した。
この方法は、患者自身の骨髄から採取したES細胞を人工的に育てて、心臓筋あるいは
心臓弁に移植するというもの。3年から5年後には実用化される見通し。
■心臓病で年間1750万人が死亡
世界保健機関(WHO)による2005年度統計によると、心臓病による死者は全世界で1750万人、
人類最大の死因となっている。だが、心臓弁と心臓筋を移植すれば、心臓病による死亡の
大半は避けられるとされている。
血液の環流を調整する4つの心臓弁とそれを取り囲む筋肉からなる心臓の組織は、いったん
損傷を受けると再生が不可能だ。そのため心臓発作を起こすと、致命的でない場合でも、
身体を衰弱させることになる。また加齢とともに、心臓の組織は弱体化していく。
「患者自身の繊維組織から培養した心臓弁を最も必要としているのは、先天的な心臓欠陥を
もって生まれてくる新生児。100人に1人がこの問題を抱えている」と指摘するのは、心臓移植
研究の第一人者で今回の研究の中心的人物でもある、Simon Hoeurstrup氏。
現在使用されている人工の心臓弁は、成長にともない定期交換する必要があるため、
子どもの患者に多大な苦痛を与えることになるうえ、死亡率も成人の場合より高い。
さらに、耐久性の高いメカニックな心臓は心臓裏側の細菌感染の危険性を高め、血液の
流れを不正常にする可能性が高い。血液の凝固を阻止する薬を服用せざるをえないため、
内出血と塞栓症の危険を高めてしまう。
こうした理由から、免疫システムによる拒絶反応を起こさない患者自身の組織を移植する
方法は、関係者から移植治療における「聖なる杯」とされていた。
■画期的な心臓病治療法と期待される、人工培養組織の移植
現在利用されている生物繊維組織からなる心臓弁は2種類あるが、いずれも重大な欠陥を
抱えている。豚の心臓弁移植は、容易に移植の素材を入手できる利点はあるものの、人間
の心臓弁と構造が違うため、摩耗していく傾向が強い。ヒトのドナーから提供してもらう場合
その心配はないが、提供の機会が極めて限られているうえ、拒絶反応を引き起こす場合も
多い。
患者自身の骨髄から採取した組織を使用する方法では、細胞を適切な形に育成させる。
こうして成熟した繊維組織を心臓弁として患者に移植する一連の過程は、わずか6週間ほど
で完了するという。(c)AFP/Marlowe Hood
AFP 2007年09月04日 11:04 発信地:パリ/フランス
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2276678/2070687
英サウサンプトン大学の研究で、食品に使用されている
合成着色料や防腐・保存剤が、子供が集中力をなくし、すぐにかっとなって
過激な行動に走るHLD症候群の症状を助長することが確認された。6日発売の
英医学誌ランセットに研究結果が発表された。
合成着色料や防腐剤の摂取とHLD症候群との関係は30年以上も前に
初めて言及されたが、それを実証する広範な調査・研究を欠いていた。
同大学の研究者は3歳の子供153人と8-9歳の子供144人をグループ分けして
実験を行った。まず、添加物を含まないフルーツジュースを与えるグループと
添加物入りの飲み物を与える2つのグループに分け、添加物入りを与えるグループを
合成着色料の量によってミックスAと、Aの2倍の量の合成着色料を与えるミックスBの
さらに2つのグループに分けた。A、Bとも、保存剤の量は同じとした。
6週間にわたって実験を続け、この間、対象となった子供を観察した結果、
添加物を摂取したグループは全体的にみて約10%多くHLD症候群の定義に近い
行動を取るようになったという。
研究の中心となった同大学の心理学のスティーブンソン教授は、この研究によって
合成着色料や保存剤が子供の健康に悪い影響を与えることが明確に証明されたと
している。
同教授は、HLD症候群の原因はいろいろあって、親は子供の口に食品添加物が
入らなくすることだけで同症候群を予防できると考えるべきではないが、それによって
少なくとも1つの原因を取り除くことができると指摘している。〔AFP=時事〕
TITLE:livedoor ニュース
URL:http://news.livedoor.com/article/detail/3296594/
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